【1.本書の紹介】
2015年のラグビーワールドカップで、日本ラグビーの快進撃がありました!
快進撃の立役者である五郎丸選手のルーティンが話題になり、日本中で大流行しました。
そのルーティンを一緒に作ったのが著者の荒木香織さんです。
日本代表は、ワールドカップに臨むに当たり、今までとは異なりフィジカルだけでなく、メンタルも鍛えたんです!
今までの日本代表の選手たちは、ワールドカップではほぼ勝った事が無い為、外国チームに勝てる訳がないと思っていたのです。
なぜならば、ラグビーワールドカップで日本が勝利したのは、なんと!1991年ジンバブエ戦に勝利した、たった1回だけなんです!
それ以来24年間!ずーっと勝つことができませんでした。
24年間勝っていない日本代表が、明日勝てると思えますでしょうか?
思えませんよね。
そんな日本代表に選ばれて、嬉しいでしょうか?
嬉しくないですよね。
逆に負けるのが当たり前で、もし勝ったとしたらそれは実力ではなく、幸運として受け止める以外の思考は持っていませんでした。
「勝ててラッキーだったね!」と言われる為に試合に出たいですか?
宝くじで1億円が当たるくらい勝つ可能性が低いのに、わざわざ試合に出たいですか?
選ばれた選手は逆に、迷惑ぐらいに感じていたかも知れません。
外国人は、体が大きいし怖いし、体が当たれば痛いし、試合の為に練習時間を取られるし、大差で負けたら格好悪いし、正直、夢の無い代表に選ばれるのは苦痛だったんだと思います。
ここは、なんとなく選手の気持ちがわかる気がしますね。
ですが、いつまでもそんな心持ちで勝てる訳ありませんよね。
そんな状況の中、ワールドカップで勝てない日本代表を、エディー・ジョーンズヘッドコーチは、ハードワークによって、日本代表の良さを活かしながらフィジカル面を着実に強化していきました。
しかし、メンタル面の弱さを感じ取りエディ・ジョーンズヘッドコーチは、荒木香織さんを招聘しました。
荒木香織さんは、ワールドカップを見据え時間をかけてメンタルを鍛えまくりました。
そして、遂にワールドカップという大舞台に立ち向かうための、フィジカルとメンタルのツープラトン作戦が完成しました!
エディー・ジョーンズヘッドコーチをフィジカルを鍛えた日本ラグビーの父とするならば、荒木香織さんはメンタルを鍛えた日本ラグビーの母です。
エディー・ジョーンズヘッドコーチをフィジカルを鍛えた日本ラグビーの神様とするならば、荒木香織さんはメンタルを鍛えた日本ラグビーの女神です。
メンタルを鍛えたことが、それだけ偉大な事だということが伝わりましたでしょうか?(笑)
その日本ラグビーの女神、荒木香織さんが研究に研究を重ねたメンタルスキルを、この本で、私たちにわかりやすく紹介しています。
これは、スポーツだけでなく、我々のビジネスにも、日常生活にも活用できる内容となっています。
【2.本書のポイント】
もし彼らが強いと見えたなら、それはフィジカルと同時にメンタルを鍛えたからです。「ルーティンを持っている選手の方が、持っていない選手に比べると、成功体験が多い」プレ・パフォーマンス・ルーティンがもたらす4つの効果1.その動作をすることにより、それに続くプレイをスムーズに行える2.外的および内的障害の排除3.プレーを修正しやすい4.ストレスの軽減プレ・パフォーマンス・ルーティン、という点に対して、ポスト・パフォーマンス・ルーティンと呼びます。スポーツに限ったことではありませんが、自分でコントロールできない、代えられないことに対して気をもんでも、何の解決にもなりません。時間とエネルギーを浪費するだけですならば、その時間とエネルギーを自分ができることに費やす方が、よほど建設的だと思いませんか?平常心で臨んでも、決して良い結果が出ません。むしろ、適当に興奮し、不安もある程度抱えている状態の方が良いパフォーマンスができると言われています。振り返ってみてください。緊張したけれども良いパフォーマンスやプレイができた事はなかったですか?きっとあったと思います。緊張=悪では無いのです。
自分で具体的な課題を見つけ、考え、向上しようとする姿勢を常に忘れない。選手にはそうあって欲しいと考えていたんです。アスリートである前に、人としての基盤ができていなければ、責任を持って行動できる人間でなければ、アスリートとしても伸びていきません。自分に楽しみや刺激がある。あるいは自分が学んでいる、前に進んでいると感じられる。そうなると、人は自主的に目標に向かって取り組むことができる。これも理論的に明らかにされています。役割と責任を明確にすることは自信をつけ、モチベーションを生む上で非常に大切です。自信がない時でも、まず顔を上げ、胸を張り、勝者のように、自信があるように振る舞うことを意識してください。相手の反応が変われば、結果も変わってきます。それが自信につながっていきます。大切なのは、「自分自身に自信をつけてあげられる言葉をかける」こと。しっかり準備をして、繰り返し練習したら自信がない状態でいることの方が難しくなります。目標3種類に分ける1.結果に関する目標2.パフォーマンスに関する目標3.過程に関する目標オリンピックでメダルをかくと若くした選手を獲得できなかった選手の山についての研究があるのですが、その中で「過程に関する目標持って練習に臨んでいたかどうかが大きな分かれ目になる」ことが明らかになりました。どんなに小さくてもいいから、達成感を感じることもうひとつ重要なのは、期限を切ることプレッシャーが重圧なるかそれともエネルギーになるか。それはあなた自身がどう受け止めるかにかかっているのです。うまくいったなかったときは、「失敗した」ではなく、「良い経験をした」と言うようにしたいものです。【目次】はじめに第1章 最高のパフォーマンスを発揮するためのメンタルスキル第2章 自分に自信をつけるためのメンタルスキル第3章 目標を達成するためのメンタルスキル第4章 困ったときのメンタルスキル第5章 受け止め方を変えるメンタルスキルおわりに
おわりに「もっとやれたことがあったのではないか」という思いも、私には拭いきれません。たとえば、南アフリカに勝った後のスコットランド戦。日本は10対45と大敗しました。南アフリカに勝利したら、取材メディアの数が一気に増えるだろうし、祝福や激励のメールもたくさん届くだろう。「ケータイが壊れるんじゃないか・・・」五郎丸選手はそう思ったそうです。さすがにそこまでは想定していなかった。予想することはできませんでした。想定以上のことが起こってしまったのです。予想をはるかに超えた事態がおきてしまったので、それに対する具体的な詰めが甘かった、もっと詰められたなと、あらためて感じるのです。
【3.本書の感想】
想定外の対応については、次に生かせると思います。
是非そうあって欲しいと思います。
荒木香織さんの言葉を借りるなら、今回「失敗した」ではなく「良い経験をした」んだと思います。(笑)
それから、私個人的には「過程に関する目標持って練習に臨んでいたかどうかが大きな分かれ目になる」という内容を読んで「目からウロコ」でした。
1.結果に関する目標 → ラグビーで全国制覇
2.パフォーマンスに関する目標 → キックの成功確率を85%にする
3.過程に関する目標 → プレ・パフォーマンスルーティンを完成させる
今まで、「パフォーマンスに関する目標」を達成する為の「過程に関する目標」は、全く意識していませんでした。
つまり、結果に関する目標を一足飛びで達成を目指すのではなく、課題を分けて順番にできるところから確実に実行していくことで、最終的な目標を達成する方法を勧めています。
1.持久力をつける(為に)→2.毎日走る(為に)→3.トレーニングウエアに着替えて外に出る。(過程に関する目標)
1.資格を取る(為に)→勉強する(為に)→テレビを消す(過程に関する目標)
確かに、これを実行することで、確実に目標達成に近づく事ができると思います。
著者はメンタルの専門家だけあって、この本では、色々な事を教えてくれていますが、「心は鍛えられる」という事を知るだけでも価値ある1冊です。
この本を読んで頂いて、メンタルについての誤解に気づいて頂くと、今後の人生がもっと張りのあるものになると思います。
是非、読んでみてください!
最近の荒木香織さんのツイッターメッセージは、こちらです。
コントロールできることを見極める。自身の過去、他人の言動、天候(過去のミス、対戦相手の実力、指導者の判断など)など、コントロールできないことにエネルギーを使うのをやめる。自分の思考、感情、行動をコントロールして成し遂げたいことに向かう。 #スポーツ心理学
— Dr.Kaori Araki 荒木香織 (@arakikaori) August 27, 2019
最後までのお付き合いありがとうございました!
【4.著者より】
◆荒木香織さんにツイッター記事をリツイートしていただきました!
荒木さんありがとうございました!