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【書評】日本が再浮上します! 「IoT最強国家ニッポン」南川明 講談社+α新書

f:id:bkeita:20200524151526j:plainやりました!技術立国日本にとって、明るい未来が期待できる本が出てきました!

【1.本書の紹介】

IoT 製品を造るには4つの製品(レガシー半導体、電子部品、モーター、電子素材)が必要です。
 
その4つの製品を造る技術を、唯一自国で持っている国がなんと、日本なんです!
 
これが、2030年頃、世界にIoTが普及した頃に、日本が存在感ある地位を築くはずだ、という大きな理由となっています。
 
4つの製品を別々で造るのではなく、ゼロベースから造れば、他の国にはできないデバイスができるはずだと主張しています。
 
4つの製品を造るメーカが、協力して造り上げられるかがポイントです。
 
これができれば、IoT最強国家になりえる!と力強く主張されています。
 

【2.本書のポイント】

世界はいま、「人口増加」「高齢化」「都市への人口集中」という三つのメガトレンドに直面しています。これらはいずれも、人類の存在を脅かすものばかりです。ゆえに早急な解決が求められており、その対策として IoT に大きな期待が寄せられているのです。
 
今後もメモリやMPU、 あるいは先端ロジックは、重要な LSI( 大規模集積回路)であり続けます。しかしその重要度は下落傾向にあり、産業機器(製造装置、計測機器、医療機器、電力関連機器、ロボット、軍需関連機器)や自動車など製造業の分野では「アナログ半導体」「パワー半導体」「センサー」の三つが主役になります
 
これまで新たな産業の誕生というと、その産業によっていくら稼げるのか、その点ばかり注目されてきました。しかし IoT の技術においては、いくら稼げるようになるのかではなく、いくら削減できるかがポイントになります。
 
量産されている主要な半導体メモリは、SRAM(エスラム)、DRAM(ディーラム)、NOR(ノア)型フラッシュメモリ、 NAND (ナンド)型フラッシュメモリーの四つ。
 
SRAMは、制御が容易なことや、読み出し・書き込み動作が速い点がメリットです。大容量化に適さないというデメリットがあります。
 
DRAMはセル面積が小さいため、大容量化に向いています。しかし、定期的にリフレッシュ信号を与えないと、データが失われてしま宇野が欠点です。
 
NOR型はデータ保持の信頼性が高く、誤りの訂正など処理が不要。さらにビット単位の書き込みができるのが大きなメリットです。しかし消去速度が遅いので、高速動作には適さず、セル面積が大きい為に大容量化が難しいのが欠点。
 
NAND 型はセル面積が小さいため大容量化に向いています。
 
IoT 産業では、ここの望み通りにカスタム化することが重要になります。そして日本には、それを得意とする企業が膨大に存在している。だからこそ、「IoT 化の進行とともに日本企業は復活する」私は確信しているのです。
 
半導体の歴史を振り返ってみると、日本企業は、一つのユーザーが要望する通りの製品を作ることを得意としてきました。ここに私は大きな勝機を見ます。
 
IoT 製品に求められるのは、日本ならではの匠の技なのだと思います。
 
半導体の消費金額の約50%を中国が占めています。しかし、半導体の消費金額が約20兆円に達するにもかかわらず、中国の自国メーカーが供給できるのは、そのうちの約8%に過ぎません。金額にすると約1.6兆円程度です。
 
米中貿易摩擦が生じなければ、2020年頃からは、NAND型フラッシュメモリ市場で、世界の設備投資が20%近く増加する見込みでした。中国は12インチウエハを中心に、2020年までに生産能力が2倍に増えたでしょう。結果、メモリは大幅な供給過剰となり、価格下落のせいで壊滅的な事態を招いていたかもしれません。
 
IoT 製品を造るには、必ず以下の4つの製品が必要になります。
1レガシー半導体
2電子部品
3モーター
4電子素材
この4つの製品が一つでも欠けていると、IoT 製品を完成させることはできません。しかし、4つの製品全てを自国で製造できる国は日本だけであり、他の国は、アメリカもドイツも中国も、欠けている製品を輸入して完成品を製造しています。
 
例えば工場でビッグデータを集める際には、すべてセンサーを用いて集めることになります。温度、湿度、振動、圧力、流量、加速度、光・・・これらの情報は、レガシー半導体でないと感知できないのです。
 
電子基板は、現在、普通に造られているものです。半導体や電子部品をそれぞれ購入し、組み立てて、完成させています。しかし、それをゼロから共同で開発・製造し、パッケージの中に収め、コンパクト化するのです。
 
次代のコンピューター基盤とサービスの覇権を握るべく、AI チップの開発競争が始まっています。インテル、エヌビディア、ARM、グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンなどが、新世代のデバイスやサービスの開発に向け、オリジナルのチップを開発しています。
 
IoT において、日本企業は明らかに有利な位置を占めていますIOT が普及する2030年ごろには、日本の産業界には、現在とは全く違う景色が広がっているはずです。
 
ハードウェアがなければビッグデータは効率よく集まりません。日本企業は互いに連携し、電子部品を組み合わせて、モジュール化するのです。それが日本企業にしかできない技術であれば、ビッグデータを集めることよりも価値のあるものになるはずです。IoT の時代は、ハードウェアやモジュールで稼ぐ日本が世界中から注目されるでしょう。
 
【目次】
第一章 IoTで生まれる巨大市場
第二章 産業の主役が変わる!
第三章 中国はなぜIoT大国を目指すのか
第四章 IoT「四つの神器」
第五章 IoTで激変する社会
第六章 革命を起こす日本のIoT企業群

 

【3.本書の感想】

景気のいい話ではありますが、これを読んで、どうしてもしっくり来ない所があります。
 
それは、ビックデータを集める機器を造るよりも、ビッグデータを握る企業(アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグル等)の方が強いのではないかと思う点です。
 
今まで日本は、「技術で勝って、ビジネスで負ける」と言われてきました。
 
また、その繰り返しになるのではないかという懸念を抱かずにはおれません。
 
技術力を高める事は今の延長上で頑張るとしても、今後の日本に必要なのは、ビジネスを描ける人物または国のリーダーシップだと思います。
 
半導体の苦い過去を繰り返さない為にも、世界に通用する図々しさを持ったビジネスをリードできる人物が登場することを願います。
 
技術系の方は是非こちらを読んで元気出してください!

IoT最強国家ニッポン 日本企業が4つの主要技術を支配する時代 (講談社+α新書)

 

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